2010〜2012年度「東京大学公開講座「ホネ」」
万物を架橋するホネ

化学から見た体の骨、細胞の骨、分子の骨
何億年も昔に陸から海へと流れ込んだカルシウムによって、脊椎動物が誕生しました。しかしその前から生物は、強固な分子構造の「硬い分子」という骨を持っていました。本講義ではそれぞれのレベルでの「骨」を紹介します。

テンセグリティ(Tensegrity):細胞と建築をつなぐ骨組み
テンセグリティ(Tensegrity)はちょっと風変わりな骨組で、50年もの間、誰も建築に利用することが出来ませんでした。ところが近年、これが生体の細胞を支える骨格を形作っているという学説が現れました。細胞と建築をつなぐスケールを超えた骨組の原理について考えます。
ホネの硬さとしなやかさ

骨のかたちと硬さの秘密
骨折してもギブス固定などで治すことのできる骨には、かたちと硬さを作る巧妙な仕組みが備わっています。本講義では、骨が特別に持っている「かたち」と「硬さ」の秘密についてお話します。
人の心の中のホネ

骨を抱きしめる-マダガスカルにおける墓制と遺体
マダガスカル島では、死後、親族が共有する集合墓に埋葬されることは、その人がたんなる死者ではなく、「祖先」として社会的に位置づけられることと結びついています。マダガスカルの人々の死生観と、そこにおける骨の意味を探ってゆきます。

先史時代の人々は骨をどのように扱ったか-再葬と祖先祭祀-
埋葬した遺体を骨にしてから再び掘り起こし、埋葬しなおす「再葬」。弥生人にとって骨を再葬した意味は何であったのか。世界の先史時代の埋葬と比較しつつ、検証する。

失業体験を支える心のホネ
失業はマクロな社会問題であると同時に、失業者個々人にとっては、経済的、社会的、心理的に大きなストレスとなる体験である。自分の人生を再びしなやかに歩みだすためには何が必要だろうか。失業を通して、働くこと、生きることを問い直してみたい。
長寿を支えるホネ

老いない体のつくり方 ―骨粗鬆症を防ぐ―
骨のできかた・骨の役割・骨の老化について学び、ついで世間で広まっている間違った骨の健康常識について吟味します。これらを踏まえた上で、骨を強くするためにできることについて具体的に学んでいきます。

顔のホネのしくみと病気
一見重たい骨の塊のように見える顔のホネは、少しでも軽くなるように実は中は空洞だらけで、眼、鼻、口や歯といった重要な感覚器官が収まっており、見たり、聞いたり、息をしたり、喋ったり、 食べたりできるように合目的的に作られている。