東京大学公開講座「特異」
2006年度開講

東京大学公開講座「特異」

仲間外れ、天才に挑む: 土井不曇の反相対論
岡本 拓司

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アルベルト・アインシュタインは、1922年の来日の際、熱狂的な歓迎を受けている。この熱狂の中、第一高等学校で教鞭をとっていた土井不曇は、かねてから準備した反相対論の議論を練り上げ、東京帝国大学での講演の際にアインシュタインに質問を行った。大学・大学院で土井の指導教官であった長岡半太郎は、来日する天才物理学者への反論を「国辱」とさえ表現し、土井周辺の人々も土井の無謀に見える企てを阻止しようと努めた。世界的に見れば、土井の反論は珍しいものではなかったが、土井が質問を決意した経緯や、土井周辺の人々の反応は、当時の日本の知識層が置かれた特異な状況をよく反映している。土井と彼の周辺の人々の動向を分析することで、第一次大戦中直後の日本の科学界の特異性を明らかにしたい。

講師紹介
Graduate School of Arts and Sciences
※所属・役職は登壇当時のものです。

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