概要
アルベルト・アインシュタインは、1922年の来日の際、熱狂的な歓迎を受けている。この熱狂の中、第一高等学校で教鞭をとっていた土井不曇は、かねてから準備した反相対論の議論を練り上げ、東京帝国大学での講演の際にアインシュタインに質問を行った。大学・大学院で土井の指導教官であった長岡半太郎は、来日する天才物理学者への反論を「国辱」とさえ表現し、土井周辺の人々も土井の無謀に見える企てを阻止しようと努めた。世界的に見れば、土井の反論は珍しいものではなかったが、土井が質問を決意した経緯や、土井周辺の人々の反応は、当時の日本の知識層が置かれた特異な状況をよく反映している。土井と彼の周辺の人々の動向を分析することで、第一次大戦中直後の日本の科学界の特異性を明らかにしたい。
講師紹介

岡本 拓司
総合文化研究科
学歴 | |
1989年 | 東京大学理学部物理学科卒業 |
1994年 | 東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論専攻単位取得退学 |
2004年 | 博士(学術)を東京大学大学院総合文化研究科より取得 |
職歴 | |
1994年 | 新潟大学人文学部助手 |
1994年 | ハーヴァード大学特別研究生(フルブライト奨学金による) |
1997年 | 東京大学大学院総合文化研究科講師 |
2005年 | 東京大学大学院総合文化研究科准教授 |
研究テーマ |
19世紀半ば以降の科学史・技術史・高等教育史 |
最近の主な著書 |
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『はじめて読む物理学の歴史』(共著) | ベレ出版 | 2007年 |
HP (ホームページ) |
http://hps.c.u-tokyo.ac.jp/staff/_data/okamoto_takuji/index.php |