概要
21世紀に入り、異質な他者を承認しながら共生をめざす成熟した民主主義社会を支えていくためには、多元的な情報、および熟議に鍛えられた知識を社会全体で共有していく必要がある。そこでは、「公共知」を構築する卓越したジャーナリズムの役割は不可欠であろう。ところが、インターネットなどの情報テクノロジーが普及し、本格的なメディア社会が到来したにもかかわらず、ジャーナリズムという営為は皮肉にも成熟したとは言いがたい状況にあるのではないだろうか。
本講義では、我々が情報化社会のなかで、どのようなジャーナリズムのあり方を構想してゆけばよいか、について問題提起をしていきたい。
講師紹介

林 香里
情報学環
学歴 | |
1987年 | 南山大学外国語学部英米科卒業 |
1992年 | 東京大学大学院社会学研究科社会学 修士課程 |
1993年 | ドイツ、エアランゲン・ニュールンベルク大学留学。経済・社会学部、 コミュニケーション学・政治学研究科、マスコミュニケーション学専攻 |
1995年 | 東京大学大学院人文社会系研究科社会文化研究専攻社会情報学専門分野 博士課程 |
2001年 | 東京大学大学院人文社会系研究科より 論文博士号取得(社会情報学) |
職歴 | |
1997年 | 東京大学社会情報研究所助手 |
2001年 | ドイツ、デュッセルドルフ大学東アジア研究所、 現代日本学講座講師 |
2002年 | ドイツ、バンベルク大学社会学第二講座客員研究員・ アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨学研究員 |
2004年 | 東京大学社会情報研究所助教授 |
2004年 | 東京大学大学院情報学環准教授 |
研究テーマ |
ジャーナリズム/マスメディア産業の労働環境と労働市場 |
「自由主義的」ジャーナリズム倫理の再検討 |
最近の主な著書 | ||
「マスメディア・ジャーナリズムを支配する『最大多数の最大幸福』の最大不幸:職業倫理の検討とその刷新の可能性」 『論座』7月号, p.26-31 | 朝日新聞出版 | 2008年 |
「『公共性』から『連帯』へ 労働としての『メディア』と「ジャーナリズム』を考える」 『世界』7月号, p.54-65 | 岩波書店 | 2007年 |
『マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心』 | 新曜社 | 2002年 |
HP (ホームページ) |
http://www.hayashik.iii.u-tokyo.ac.jp/ |