「東京電力福島第一原発事故から学ぶ食の安全 -畜産物について-」

消費者調査報告

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概要

2011年は牛肉の安全性やそれをめぐる消費者の関心を集める問題が多く発生した年であった.東京電力福島第一原子力発電所の事故により,3月17日以降は飲料水や牛乳を含むさまざまな食品中から暫定規制値を超える放射性物質が検出され,被災地周辺地域の食品に対する消費者の不安感は高まりを見せていた.そうした中,放射性物質による食品の汚染状況を把握し,暫定規制値を超える放射性物質が確認された食品を市場から排除するために,検査体制の整備がすすめられた.周知のように,その後も様々な食品で暫定規制値を超える例が報道され,牛肉中からも7月11日に2,300Bq/Kgという暫定規制値を大幅に上回る放射性セシウムが検出された.7月には和牛卸売価格も暴落し小売レベルでも30%引き,半額といった表示をみたことは記憶に新しい.
一方,4-5月にかけての食肉の生食を原因とする腸管出血性大腸菌による食中毒の発生では,死者も報告され,10月には生食用牛肉の管理措置が強化された.12月には牛生レバー内部からO157が検出された事実も明らかになった.さらに,牛海綿状脳症(BSE)に関する国内措置および輸入措置の緩和に向けた検討も進められているところである.震災以前の市民に対する調査では,日本人はBSE検査に対する信頼(依存)が高い(強い)という結果や,O157など腸管出血性大腸のリスクを高く認知する傾向が確認されてきたが,放射性物質という新たな危害要因が加わることでこうした状況に変化が起きている可能性がある.
このような背景を踏まえて,2011年10月~2012年3月にかけてJRA畜産振興事業「畜産物に対する放射性物質の安全に関する調査事業」で実施した,牛肉の安全性に関する消費者調査の結果について報告する.

 

参考:http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/information/news/120324.html

講義実施日:
2012年3月24日
対象:
一般
分野:
農学

講師紹介

細野 ひろみ

ほその ひろみ

東京大学
農学生命科学研究科 准教授

※所属・役職は登壇当時のものです。

講義資料